【タイトル・ハード・価格など】
タイトル:姫君は優雅に推理する
遊んだハード:Android
製作:YOX-Project
発行日:2014年12月
価格:序章が無料。2話・3話は各240円。
【ゲーム概要】
選択肢が少ないタイプの推理ADV。
【一言感想】
これまでやった推理物の中では一番面白い!!!!
【ごく個人的なお気に入り・不満点】
◎ファルスが失敗しても言い訳一つしないところ
×ちょっとスキップが遅いかな
Androidアプリ「姫君は優雅に推理する」をプレイ。
開発はYOX-Project。ゲームで商売するつもりのサークルらしい。今時中々無茶をする・・・。
「姫君は優雅に推理する」はオーソドックスなスタイルの推理ADVで、システム的にはちょっとした選択肢を選ぶ程度のシンプルな内容。
システムがシンプルな分、当然勝負は文章でということになる。
本作のストーリーは、ラタニーア王国の第一王女「セイラ・ライムハルト」が、執事の「ファルス・サーリウス」と共に社会勉強のために日本を訪れた、という所から始まる。
日本を選んだ理由は日本のアニメや漫画が好きだからとのこと。
滞在先はジャパニーズサブカルチャーの最先端である秋葉原。姫様はいつも優雅なので平然とドレスで街中を歩いて周囲の注目を集めたりする。コスプレコスプレ。
日本側の役員にもまるでパーティーだとか言われる始末。姫様に対してなんて恐れ多いことを言うのか。
さて、姫様が日本で何を始めるのかと思えば、なんと探偵事務所を開くという。
ちなみに事務所を開く理由はいつもクールなファルスの驚く顔が見たかったからだそうだ。
こうして、前代未聞のお姫様探偵が誕生することとなった・・・。
といのが物語の導入部分。
うむ、いいねえ、実にクレイジーだ。
物語の導入てのはこうじゃなきゃいけないな。
ゲームを始めてまず良いなと感じたのは、会話ごとにマメにアクションが入っていること。
アクションと言っても立ち絵と背景が動く程度の簡素なものだが、それだけでも大分キャラクターの感情や動きを表すのに効果があって感心。
また、メニューを開く方法が「二つの指で画面をタッチする」なのが実にスマートでよい。
これなら小さいアイコンをタップするストレスを感じなくて済むし、アイコンを置く必要も無いので画面も広く使える。
システム面もしっかり作ってあるが、やはり本作最大の魅力と言えば主人公であるセイラ探偵の強烈なキャラクターだろう。
日本に来日したその日に殺人事件に遭遇し(どんな確率だよ)、刑事に対して「わたくしが必ず真相を暴いてみせます!」と堂々と宣言。
某頭脳は大人な探偵マンガで鍛えた推理力と勘を武器に、謎に直面しても「探偵としての勘がそう言っているのです!」で自論を通す大胆さは、彼女以外では発揮できないだろう。
ここまで無茶苦茶だと「次はどんな無茶を言ってくれるんだろう」と逆に楽しみになってしまう。
例えば仮に推理物の物語を作るとして、物語に破綻が無いように「リアルさ」や「矛盾の無さ」を重視すれば、破綻は無いが地味なストーリーが出来上がってしまうかもしれない。
だが本作はそのようなしがらみを全て突き破り、ありえないくらいのケレン味を発揮している。
何しろ現代日本が舞台なのに3話では探偵と怪盗がガチバトルを繰り広げているほどだ。
その様な事は現実にはおそらくありえないだろうが、そうしたストーリーを堂々と進めていける所に本作のパワーを感じた。
ただし、その分推理部分はかなりおおざっぱな印象だったので、ガチに考え抜かれたトリックを暴きたい!という人には物足りないかもしれない。
本作は割と「お手軽推理」的な側面が大きく、俺のように推理物はあまり読まない、という人にこそ向いたソフトだという印象だ。
推理がお手軽な代わりに、と言ってはなんだが、本作はとにかくセイラ姫のキャラクターが面白く、俺なんかはセイラ姫が喋っているのを見るだけで楽しくてしょうがない。
ここで俺がビビッと来た姫様のセリフを少し紹介しよう。
「・・・兼業ということにすればいいわ!」
1話で発したセリフ。探偵事務所を設立した直後に「声優になりませんか?」と誘われ、悩んだ挙句に辿り着いた発想が「探偵と声優を兼業する」というもの。
直後に執事のファルスに咎められて諦めるのだが、お姫様で声優の探偵とかもはや意味が分からないので諦めて正解だと思います姫様!
「あのような早口言葉、わたくしはとても真似できませんわ。」
声優さんのレッスンを見たときに発したセリフ。
姫様は素直に人を褒めることが出来る、器の大きい方なのです。
「素敵!王族でよかったわ。」
探偵事務所をテレビCMで宣伝しようとした時のセリフ。
姫様は高貴な方なので庶民の感覚はあまり分からない様です。
「今日こそ依頼が来る気がするわ。」
事務所を設立するも依頼が全く来ない時に発したセリフ。
育ちの良さから来るポジティブシンキングが素敵です。
ずっとそのままでいて下さい姫様!
「むしろこれを解けない程度では、探偵としての資質はゼロですもの!」
姫様の探偵としての資質を試すテストを解いた時のセリフ。
天然で解けなかったプレイヤーの胸をグサッと刺す素敵なお言葉。
ちなみに俺は当然解けずに総当りで進めました。
「ああ、さながら墓標のようにナイフが背中に突き刺さっています。」
背中を刺されて倒れている人を見つけた時のセリフ。
さすが姫様、人が倒れていても優雅な比喩です。
うむ、やはり姫様は何を言っても優雅だな。
悩むと頬を膨らませる癖があるところもキュートだ。
さて、最後に本作最大の難点について話しておかねばならない。
「姫君は優雅に推理する」は全5話構成なのだが、2015年11月18日現在、第3話までしか配信されていないのだ。
4話は今秋、5話は今冬に配信予定との事だ。
今秋が何月までなのかについては議論が待たれる所ではあるが、とにかく続きを早く!はよはよ!
PR