『Omegaの視界 ~ミヨ オワレル シマイ トワ(●nd)~」を読み終わった。
サークル「ねこバナナ」製作の電波系伝奇系ビジュアルノベル。
シリーズ4作目だが以前のシリーズ内容も一本にまとめられており、これだけ買えばOmegaの視界シリーズが初めから最後まで遊べるというお得仕様。
価格は1600円くらいだったはず。DL版も販売中。
システムは純粋なビジュアルノベル。
選択肢も無く、まったくの一本道で話が進んでいく。
本作のおおまかなあらすじは「月狂跳」という謎の何かを探しに『玄ノ森』田舎に向かった主人公「飯窪真言」が、村の祭りや伝承の情報を集めつつ、女の子たちに囲まれてどうこうというもの。
但しゲーム中、このあらすじ通りに話が進むかというとそんなことは全く無い。
むしろ全体的に何が起こっているのか分からない。
俺も最後まで読んで理解できたストーリー内容は全体像の3割程度だろう。
何しろこのゲームの構成はまるでまともじゃないのだ。
本作は細かくパートで区切られており、パートの内容は大体以下の3種類に分けられる。
・主人公である真言くんの脳内妄想パート。
・情報をもたない中二病単語がひたすら並ぶパート。
・要領を得ない電波会話パート。
このゲームの7割ほどはこうした解読が難しい内容で占められており、残り3割の部分で話を進めたり日常会話をしたりといった感じになっている。
俺が理解できた3割というのはその日常会話とかの部分だけ、ということだ。
まあその3割も半分くらいは真言くんが理由も無くモテまくるというもので俺には辛かったが。
とにかく専門用語の数が多い割にその説明が全くといっていいほど無く、さらに視点や時系列が頻繁に変わるため何がどうなっているのか判別しづらい。
それだけならまだ良いのだが、そもそも文章自体がヤバすぎてほとんど理解できない。
徹夜のテンションで脳内から湧き出るものをそのまま言葉にした、みたいなセリフを登場人物ほとんど全員が喋るため、プレイ中はずっと「?」マークが俺の頭に浮かんでいた。
もはやこれは「難解なシナリオ」とか「人を選ぶ」とかそういう次元ではないような気がする。
そもそも物語を他人に伝えようという意思がまるで見えない。
重要なところほど伏字になっている。
延々と語るだけ語って結論だけカットするなど。
ノベルゲームとは読者に物語を伝えるものである、という前提に挑戦しているのだろうか?
ここまでやるとノベルゲームというよりパズルゲームに近い。
このゲームをまともに理解しようと思ったら最低でもメモを取りつつ2週プレイがほぼ必須と思われるので、めんどくさがってメモを取っていない俺ではこのゲームの面白さについては語れないが、こうした挑戦的な作品は嫌いではない。
すごい作品であることは確かだと思う。中盤以降は普通に楽しめるシーンもあるし。
難しい理屈を延々話しながらも、結局段々理屈抜きのぶつかりあいになってくるラストシーンも印象深い。
OPムービーの滑らかに動くアニメにも驚かされた。
最後にちょっとした難点。ソフト起動時に適当にクリックしてると起動タイトルを誤爆しまくるので、ちょっと入力にウエイトを設けて欲しかった。
【おまけ】
作中で数少ない普通に話せる人、飯窪知狡さん。
本作の癒し要素。
PR