Android「快盗天使ツインエンジェル そして神話の乙女たち」をヴァっとクリアしたぞ。
1話のみ無料で全話セットは3600円とスマホアプリとしてはかなり強気な値段だ。
今回はネタバレ大量で行くので未プレイの方は閲覧禁止だ。
未プレイの人に伝えておくことは「PSP版とスロットのストーリーをしっかり把握していないと遊んではダメ」ということくらいだ。
しかしPSP版なんて何年前だよ・・・もう覚えてる人の方が少ない気がするが。
今回はPSPの「ツインエンジェル 時とセカイの迷宮(以下時セカ)」とパチスロ「ツインエンジェル3(以下ツイン3)」の直系の続編となっており、ツイン3で力を失った遥達のその後が描かれる。
製作は時セカと同じくアルケミスト・・・はもう潰れたんだっけ。とにかく時セカと同じスタッフらしい。
ストーリーも時セカと同じく、家庭用「ひぐらしのなく頃に」で有名な叶希一氏が担当。
この人は(ひぐらしの追加シナリオの時もそうだったが)とにかく設定を盛るのが好きらしく、時セカの時もスロットでは全く話に出なかったような裏設定がどんどん明かされてプレイヤーを楽しませてくれた。
さて今回価格が3600円ということでちょっとした家庭用ゲーム並みの値段になっているが、内容の方は時セカと比べてやや薄め。
タイムリープというトンデモ現象を丁寧に描写していた時セカと違い、本作(神乙)はかなり駆け足で話が進む印象を受ける。
日常パートはほとんど無いに等しいし、新キャラユーノも1話で軽く顔見せしたらその後は正体を明かす場面まで出番無し。
余計な場面は省いて最低限必要な文章だけ書いたという感じ。
ツインファントムやミスティナイトの声も無いし、一枚絵も少ないし、低予算なのが透けて見える気がする。
シナリオの中身について、まず時セカをテスナイエンドまで見ていることが大前提となっている。
何の説明もなしに「天ノ遣」とか「ジュデッカさま」とか出てきた日には、時セカを知らずツイン3から入った人には「何これ?誰これ?」となること必至だろう。
ジュデッカさまとかツイン3には影も形も無かったしな。
時セカを遊んだ人でも、「聖杯」と「アスタディール家」の関係とか、ツインエンジェルの力の源とかの知識を覚えていないと結構戸惑うかもしれない。
そしてそれらの知識があったとしても、神乙のシナリオはかなりのゴリ押しなのでついていくのは容易ではない。
聖杯の力が失われた代わりとして「アスタリウム」なんて不思議物質がいきなり出てくるところから始まり、気づいたら平行世界だの、過去を改変だの、記憶喪失だの、別世界のツインエンジェルだのがバンバン出てきてもう何が何だかという感じだ。
平行世界はなんでもありになりすぎるからやめろと言うのに・・・。
ストーリー途中では過去のいくつかの場面に戻って、葵ちゃんやみんなの知られざる思惑を知るみたいな場面があるのだが、これも展開が早すぎてついていくのが大変。
キャラクターの想いを伝えるイベントを見せたいという意図は分かるのだが、いくら感動の場面であろうとお手軽ワープでパパパッと矢継ぎ早に見せられてもイマイチ感情移入できないのが正直なところだ。
それでは本作ツイン神乙の魅力はどこにあるかというと、これはもうツインエンジェルファンだけが味わうことのできる「ギャップ」にあるだろう。
時セカでもそうだったが、明るい雰囲気のスロットと異なりゲームはやたらシリアス。
天ノ遣の責務への重責に苦しみ、遥やクルミを巻き込むまいと母親(祖母だっけ?)にキレる葵ちゃんや、錬金術師の子孫という設定が明かされて普通に言動が恐いサロメ様など、スロットでは決して見せてくれなかった様な重い一面が神乙では描かれている。
普段はお気楽で何の悩みも無いようなツインエンジェルも、実際はいつも死の危険と隣り合わせ。
多くの物を失いながらも気丈に闇の一族と戦う彼女達の悩みと苦しみは、ゲームでしか見ることができない。
そしてそれを楽しめるのは、普段の明るいツインエンジェルを知っている人だけというわけだ。
そういう意味で「PSP版とスロットのストーリーをしっかり把握していないと遊んではダメ」と言ったのである。
気になるあのキャラのあんな衝撃設定やこんな衝撃設定も明らかになるのでツインエンジェルファンなら是非遊んでおくべき作品だが、もし時セカの設定を忘れているなら復習がてら先にそちらを遊んでおくくらいの事は必要かもしれない。
まあ時セカのスロットバトル面倒くさいけどな・・・。
「そして神話の乙女たち」って、「そして」いらなくね?
普通に「ツインエンジェル 神話の乙女たち」で良かったのでは。
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